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私は友人と、宮殿内にある博物館に入っていきました。
そこには、古代から近世にかけての、石の道具や、絵や詩などが、整然と展示されていました。
歴史のあらましを見ながら友人は言いました。
「韓国と日本はいつも喧嘩ばっかりしているね。」
別室には、詩が並べられていて、私は一句ずつ、友人の為に訳していきました。しかし、不良学生だった私にとって、漢文はとても複雑で、そのほとんどが誤訳になっていたでしょう。
その後で、窓のある、小さな展示室に入っていくと、そこには壁いっぱいに大きな絵が架かっていました。漆黒の背景に、幾つかの峰をもった高い山々が、白く描かれています。その力強い筆致に、私は雄雄しさを感じるのです。
山の両端には、赤い太陽と、白い月が昇っていました。私達はほぼ同時に、韓国のその牧歌的な風景の中に、『太陽兄弟、月姉妹』という、中世イタリアの聖人、フランチェスコの言葉を思い浮かべたのでした。
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