垂れ幕和歌集
詠み人 cc210
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豆の色の
いと強きをも
もってして
まだ立ち去らぬ
睡魔の誘い
夕映えは
冷気に触れて
変わるのか
心の如き
紅の鯉色
涸井戸が
水面に色を
映せるは
時雨ある日の
君のことの葉
名残惜しみ
陽が薄野を
染めるのは
これ一幅の
金の海原
木の葉ふみ
足早にゆく
家路にて
瞬く星に
はっとする我
待ち人来ず
ふと目を遣れば
日溜まりに
木の実戯れ
向ける微笑かな
山の際に
ある茜色
うすくなり
冷気の青が
降るを待つ我
日溜まりに
在りしふたりの
足音と
東へ伸びる
凸凹な影
塔の下
独り味わう
豆の香に
しばし虚ろな
午後の空色
街灯の
光を受かる
枯れ落ち葉
白光を放ち
招く聖誕節
彼の気も
我が心内も
はかりかね
宙ぶらりんの
濱の波風
射す日浴び
輝ける黄や
燃える朱
ふと立ち止まり
浸る秋色
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