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| アッシジの町から一里ほど山道を行くと、聖人フランチェスコが好んで瞑想した場所があります。私はいつも歩いていくのですが、年を追うごとに、この坂が体に応えるようになりました。そんな弱気になったときには、足元にある珍しい草花や、小さな虫が私を慰めてくれるのです。
カルチェリ庵に辿り着いて、冷たい石の椅子にかけて汗の引くのを待っていると、観光にきたイタリア人、尼さんや修道士さんが話し掛けてくれるのです。尼さんは教会の事務室に入って、私が読めそうな言葉の栞をとりだすと、優しい笑顔といっしょに渡してくれました。
気持ちが温かく人懐っこいイタリア人を、私はますます大好きになるのです。 | |
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