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カターニャで、道を尋ねました。「今日」という雑誌を胸に抱いた黒髪のおばさんです。
おばさんは、「あなた、ベリーニに行きたいって、ベリーニ通りか、ベリーニ公園かどっちなの?」と聞きます。 「公園の方です」と言うと、「それは遠いわよ。」といって、すぐそこにあった珈琲屋さんで、詳しい行き方を聞いてくれました。そこのお客と、おばさんは口を揃えて言いました。「三キロもあるよ。歩けないから、長距離バスにのりなさい。」おばさんは、私を連れて、バス乗り場までくると、ちょうど来たバスに一緒にのって、公園前まで来てくれました。二人でバスを降りると、「ここには二ケ所入り口があるの。あっちと、そこよ。」と説明して、「じゃあね。」と一言、さっさと行ってしまいました。お礼をいう隙もないのでした。
彼女の瞳は、カターニャの背後に姿を見せる、エトナ山の光沢のかかった溶岩の黒でした。
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