|
トラパニからバスで行ったところに、セジェスタ遺跡があります。
バスを降りて、大神殿をぐるっと回ってみました。そこから劇場へ行こうとしましたが、けっこうな道のりです。道は勾配になっていて、うす雲の日なのに、ちょっと汗ばんできました。この町を造ったセジェスタ人の苦労が偲ばれます。周りに遠足の小学生がたくさんいて、彼らも劇場に向かっているところでした。彼らの無邪気な話し声に元気がでてきました。その中の一人と挨拶をかわすと、あとからあとから子供たちが自己紹介をしに来ます。名前は多様でおぼえきれません。
キアラという透き通るような白い肌の女の子の胸に、月の意匠のペンダントがあり、私は訳してあげました。彼女はそこで初めてこのデザインの意味を知ったようです。
子供たちや先生と話しながら歩いていくと、いつの間にかどこかに行っていたアントニオが、ひょっこり顔をだしました。彼は野の花で小さな束をつくって、はにかみながら私に差し出しました。「ありがとう。とっても綺麗ね。」「どういたしまして。」覚えたての英語で答えます。まわりのみんなも、楽しそうに見ています。
ようやく劇場に着きました。丘の上に威風堂々とある劇場からは、夕暮れ時のパノラマが広がっていました。
| |