車を降りて、歩いていくと、壁にペイントされたインターネットカフェへの矢印や、ハンバーガーショップがあります。ここは大きな街のようです。そのずっと先に、ピンクのネオンが輝いているのが見えました。

行ってみると、そこはバーで、西洋音楽が流れる内部はブルーの照明に染まり、ドリンク片手に外人がくつろいでいるのが見えます。当てが外れました。さらに左に折れて、大きな道を行くと、右側に高級ホテルが並んでいます。蛍光管で書かれたカジノの文字が光っています。対面にはこぎれいなカフェがあって、エンジ色のチョッキを纏ったウエイターたちが、 きびきびと仕舞の仕事をしているのでした。

ハマメットにカジノがあることを、ここで初めて知りました。これでは安宿が見つからないわけです。それでも、カジノで負けた人たちはその夜、何処に泊まるのでしょうか？そんなことを考えていると、かすかにする波の音に気づきました。音のする方に歩いていってみると、砂浜に波が寄せているのがわかりました。懐かしい磯のかおりがします。

ああ、でもここでゆっくりしていられないのだわ。ホテルを探さなくちゃ。それで再び、大きなザックを背負いなおし、緩やかな坂道をのぼっていきました。