ハマメット
ハマメット ハマメット



南から、地中海を眺めてみたい。シシリアで、この海の先にはアフリカがあるんだ、思いを馳せたように、アフリカからシシリアを思慕してみたいと思いました。

今まで乗ってきた長距離バスを、スースで乗り換える筈が、その運転手さんは、ハマメットを経由して帰るというので、そのまま乗せてもらうことにしました。

しかし、そのバスはハマメットの中心まで行かず、私は途中のガソリンスタンドで降りるように言われました。「ここから街までは、タクシーですぐだからね。」そこに一人、ハマメットに板前仕事に来たという青年が降りました。彼もハマメットへいくところなので、中心まで相乗りすることにしました。彼は私とは異なり、就職先も、ホテルも決まっているのでした。二人とも、この街は初めてという事だけが一緒でした。彼は車が予約のホテルの近まで来ると、先に降りていきました。

運転手さんは、私が宿を探すのを手伝ってくれると言います。緑のネオンで名前を書かれたホテルに入っていきました。戻ってきて言いました。
「十五ディナールですよ。」
「もっと安いところを。」
私は答えました。その後、別の一軒に当たってくれましたが、もっと高いのでした。
「ここは観光地ですよ。マダム。世界中からたくさんの客がくる。これ以上安いところはないですよ。」
「なら、一人で探すわ。同じ料金で、これ以上回ってもらうの悪いもん。」
「もう夜おそいですよ、大丈夫ですか? 」
おじさんは心配顔でした。

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