福建
福州
船を下りると、彼は私を、西観寺という大きなお寺に連れていってくれました。屋根を葺く瓦の橙色、部屋に掛かった絵画の鮮やかな色彩、敷地内に映えるソテツや椰子や、バナナの木……。
北の異民族の私は、南国風情をのんびりと満喫するのでした。
私を厦門行きのバスに乗せると、彼は私の手帳に携帯番をメモして、
「何かあったら電話しな。」
そう言い残し、さっさと行ってしまいました。
バスが福州の街を出て、私は夕日浴びながら、茜がかった風景をぼんやりと見つめていました。
先の反り返った屋根を持つ家々、緑に覆われた山……。
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