シルクロードの厳寒が骨に凍みた日
Dec, 2011
/ ウズベキスタン ヒヴァ khiva /ウズベキスタンの冬は寒かった
ヒヴァに一番近い駅からバスに乗り、城壁でかこまれた町へとやってきた。砂漠の中を夜汽車で来ただけあって、首都タシケントとは打って変わった静けさだ。
城壁の中は遺跡がたくさんあるので、売店や物売りがいるものの、観光客がいない。いても、ウズベク人ばかりだった。そういうわけで、お目当てのホテルはお休みなのだった。私は主人にたのんでもう一軒を紹介してもらった。
宿で私はたった一人の客だった。こじんまりとしていて清潔な部屋には、この地方独特の「アトラス」という織物でできたベッドカバーがかかっていた。
ただ唯一の問題はお湯がでないことだ。スタッフにお願いしても、「もう少したったら出るよ〜」というだけなのだ。
観念した私は水シャワーを浴びる事にした。外はマイナス7度だというのに。「これは荒行なのだ」そう言聞かせながら、素早く体と髪をあらった。シャンプーは泡立たない。「大丈夫。ボサボサになったとしても毛糸の帽子を被ればいいんだから」 さらに自分に言い聞かせ、せっせと洗い終えた。
バスルームを出ると服を着込み、一目散にベッドに潜り込んだのは言うまでもない。布団がとても暖かく、着けっぱなしにしていたテレビも、分からないなりに楽しめるものだった。
もうひとつ
翌日には水シャワーにも慣れ(ただ、朝食の食材がなかったためかクッキー攻めにされることだけは閉口した)、夜は屋上に上がってライトアップされるモスクの天蓋などを撮影したりしていた。
翌朝、宿のスタッフが電車の駅まで送ってくれた。早朝の深いブルーの空に、朝を告げる陽の光が濃い紅色の帯を作っていた。その後は乗り合いタクシーでブハラへ出発したのだった。タクシーがでこぼこ道を10時間かけて到着した時には、すっかり日が暮れていた。
ヒヴァ ウズベキスタンの都市。16世紀初頭から20世紀初頭まで存在したヒヴァ・ハン国の首都であった。
この日は結婚式がそこここで行われていた。何百年と続くモスクで行われる式は神聖な空気に包まれていた。その後広場はお祝いムードで、私も遠戚のひとりになった気分になっていた。しかし、彼らからすると、私は単なる外人旅行者としてしか見られていなかったかもしれない。
とにかく結婚式はいいものだ。