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私は、以前過ごした宿を探し当て、再びそこに投宿しました。
おかみさんは更に若々しく、綺麗になっていました。彼女は2年前と全くおなじ部屋を私にくれました。その小さな扉を開けた瞬間、懐かしい空気です。落書きの多かった壁は塗り直されて、あのとき読んだ失恋の詩は、白い塗料に埋め込まれてしまっていました。
夜、持ち帰りした鶏足を食べていると、まんまるの小さな鼠が遊びに来ました。とっさにファインダーを覗くと、敏感な彼女はすぐベットの下に隠れてしまいます。しっぽの先まで神経を行き渡らせて、お腹の足しになる物を探しに来たみたいです。
彼女が、私の耳朶よりこの鶏の骨の方を、夜食に選んでくれるように、と、祈りながらもぐっすり眠りにつきました。 |
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