「ほら、みてごらん、バスは一日一本しかないんだよ。」
知らない内に、周りに人が集まってきて、みんなで私を説得しました。
「どうしようもないの〜?」
「なら、バイクで行こう。ほら、後ろにのって。」
お兄ちゃんがいいました。
私は再び後部座席にまたがると、バイクは永定への道を走り出しました。風が直接身体に当たるのが、とても気持ちいいのです。私は後ろに流れていく稲刈りの終わった田圃、煉瓦づくりの家、それを取り囲むようにしてそびえる山々、青く透きとおる空の色を楽しんでいました。
「寒い?」
「寒くない!」
お昼で日差しもあたたかいのに、山道を行くと、さすがに冷たく感じます。けれど私は寒いと答えたくありませんでした。
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